仮眠を使いこなせ!勉強の効率を上げるのに最適な時間と起きるコツを解説
仮眠は、ほんの一瞬から90分前後まで、長さによって5つに分類されます。置かれた環境やシチュエーションに応じて使い分けるとよいでしょう。5つの仮眠法の解説と、狙った時間に起きられるコツやアイテムの紹介、気持ちよく仮眠できる環境作りも併せてご案内します
仮眠を取ることのメリット3選!
仮眠は、眠気を解消し脳や体の疲れを取ります。さらに、勉強したことを脳に定着させるメリットもあります。また、通常の睡眠にも同様の効果がありますが、テスト前や受験勉強の追い込みなど、膨大な量の情報を記憶として定着させるためにも仮眠は欠かせません。
この章では仮眠を取ることのメリットを3つご紹介します。
仮眠を取らずに徹夜で暗記した公式や単語を、テストが終わった途端忘れてしまうことはないでしょうか。それは、記憶が脳に定着していないためです。
この記憶の定着に不可欠なのが「仮眠」です。睡眠には、身体だけが休み、脳は活発に働いているレム睡眠と、身体も脳も休ませるノンレム睡眠があります。勉強したことは、脳の海馬に一時保管されると、比較的浅いノンレム睡眠の段階で古い記憶と結びつき固定されます。そしてレム睡眠中に整理され、記憶として定着するのです。
こうして脳に定着させ、いつでも問題の答えを引き出せるようになって初めて自分の知識となります。
単語や歴史などの暗記項目は、仮眠の前に済ませておくと覚えやすいでしょう。
勉強中、主に使われる脳の器官は大脳皮質と大脳辺縁系であり、大脳皮質は情報処理や論理的思考、大脳辺縁系は短期的な記憶や本能的な活動、感情などを司ります。
睡眠不足の状態では、これらの機能が低下し正常に働きません。例えば集中力が途切れ、注意力散漫になったり、計算ミスや文章の読み間違いを起こしたりなど、さまざまな兆候が現れます。
眠気を我慢しながらの勉強は効率が悪いばかりでなく、あくびや物忘れ、空想や気晴らしの誘惑に負けるなど意欲も低下し、精神的にも不安定になりがちです。自己否定感さえ芽生え、うつ状態になることも少なくありません。眠くなったら寝るのが一番です。仮眠は、これらのマイナス面をすべて補ってくれます。
眠くなるのは脳が疲れ切っている証拠であり、脳からの危険信号です。わずかな時間でも仮眠を取ると、脳の疲労は回復します。
実際、睡魔に負けてうたた寝をしてしまったけれど、そのあとの目覚めがスッキリし、かえって勉強がはかどったという経験を持つ方は少なくないでしょう。仮眠が、勉強や仕事の効率を大幅にアップさせることは、NASAの研究レポートや、Google、NIKEといった世界の超一流企業が昼寝を取り入れていることからも実証済みです。
NASAによると、昼間のわずか26分間の仮眠のあと、宇宙飛行士たちの注意力が54%も上昇し、認知能力も34%上がったと報告されています。昼夜問わず、ほんの少しの仮眠を取るだけで心身ともに疲労回復し、リフレッシュできます。
仮眠に適した時間は何分?
仮眠に適した時間はケーバイケースで考えられます。ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルがおよそ90分単位なので、その倍数で寝起きを繰り返すのがベストともいわれますが、そうそう時間が取れるものでもありません。
時間がなければないなりに、一瞬の睡眠でも効果があります。ここからは、時間の長さに応じた仮眠について解説します。
仮眠は、眠る時間の長さによって5種類に分けられます。それぞれシチュエーションや時間帯、目的によって使い分けるのがよいでしょう。
まとまった長さの仮眠を取れない場合、短時間の仮眠を数回取ると同じような効果が望めます。
一般的には1分以内の仮眠を指します。そのままの姿勢で数秒間、目を瞑るだけの仮眠です。目を開いたら大きく伸びをしたり、身体を動かしたりして眠気を払います。
思考する問題を解く場合や、創造力の必要なときに効果的といわれています。
1分から数分、10分未満の仮眠をマイクロ・ナップといいます。ナノ・ナップより長いため疲労回復の効果は高くなりますが、数分で目覚めるのが難しい側面もあります。
眠気に襲われる前、兆候が現れた段階で取り入れるのがよいでしょう。
10分程度の仮眠をミニ・ナップと呼びます。1960年代のアメリカ大統領ジョン・F・ケネディも多忙な一日に数回、取り入れていました。移動中や休み時間など、あらゆる場面の隙間時間に取り入れやすい仮眠法です。
パワー・ナップとは20分前後の仮眠です。NASAの宇宙飛行士の26分間の仮眠はまさにパワー・ナップであり、GoogleやNIKEなども採用している仮眠法です。正午から午後3時までに20分程度の仮眠を取ると、午後の作業効率が大幅に向上するといわれています。
平日の20分程度の仮眠を休日用に拡大したのがホリデー・ナップです。90分という長さは目覚めやすい時間であり、日頃の睡眠不足の解消に効果を発揮します。ただし、目覚める時間が午後4時を過ぎると夜の睡眠に影響するので注意が必要です。
GoogleやNIKEなどの世界的な一流企業が取り入れていることや、NASAの研究データなどから仮眠は15分から20分程度、長くても30分以内が適切であり、目覚めたあとのパフォーマンスの向上も著しいとされます。
疲れが取れると共に、熟睡の前に目覚めるため、すみやかに仕事や勉強を始められるからです。この長さの仮眠がパワー・ナップと呼ばれる由縁でしょう。「積極的仮眠」とも訳され、日本企業でも導入が進んでいます。
休日にまとめて勉強する場合、90分ほどの仮眠、ホリデー・ナップを取ると効果的です。昼寝の90分は一晩の睡眠に匹敵するといわれ、日常的な睡眠不足を補うメリットもあります。
同じ理由で休日に朝寝をする人もいますが、却って生活リズムが乱れてしまいます。いつも通りに起床して、昼寝をする方が健康的であり、勉強の効率も上がるでしょう。
90分まとめて眠れない人は20分ぐらいを数回に分けて眠ると同様の効果が得られます。
仮眠で起きれない人必見!起きるためのコツ
仮眠を取りたいけれど起きられるか心配、目覚ましをかけても二度寝してしまう方へ、仮眠から気持ちよく目覚めるための情報をお届けします。
一つ目はカフェインの摂取について、そして寝るときの場所や体勢、最後に強力目覚ましアラームの紹介です。それぞれに効果的ですが、組み合わせるといっそう気持ちよく目覚められるでしょう。
コーヒーや紅茶、緑茶に含まれるカフェインには覚醒効果があり、摂取してからカフェインの血中濃度が高まり効果が現れるまでに15~30分かかるといわれています。仮眠を取る前に、コーヒーや紅茶、緑茶などを呑んでおくと、カフェインの覚醒作用ですっきり目覚めやすいでしょう。起きてすぐに勉強に集中できる点もメリットです。
ただし、飲み過ぎると、仮眠さえできなかったり、健康を損ねたりするので注意が必要です。カフェインの過剰摂取によるめまいや心拍数の増加、不安や震えなどの症状に悩まされる方も少なくありません。カナダの保健省の推奨する適量は成人男性で1日400ml、子どもの場合、体重1kgに対し2.5mg以下と定めています。
あえて寝にくい場所で寝ると、起きやすくなります。寝室に入ったり、横になったりすると、脳が眠る場所・姿勢と認識しているため熟睡して寝過ごす可能性があります。仮眠の場所としては避けるのが無難です。
短い仮眠の場合は椅子にもたれたり、机に突っ伏したりすると目覚めやすいでしょう。身体がくつろがないので眠りが浅くなるからです。目覚めてからすぐに勉強に取り掛かれるメリットもあります。
ただし、脳がそれを習慣として認識しないよう注意が必要です。机に向かう行為が勉強と眠りのワンセットとなり、かえって眠気をもよおす可能性もあります。できれば、勉強する場所と仮眠する場所、そしてしっかり眠る場所を分けるのが望ましいでしょう。
仮眠をする際は、念のため目覚ましのアラームをセットしておきましょう。なかには、アラームを止めて二度寝してしまう方もいるかもしれません。そんな方でも確実に起きられるような強力なアラームアプリを、3つ紹介します。
アラームを止めるために写真撮影や数学の問題を解く、スマホを振るなどのミッションをクリアしなければなりません。身体を動かしたり、考えたりしなければならないので確実に起きられます。
睡眠誘導音楽も多数収録され、仮眠の寝入りばなから活用できる優れものです。
おこしてMe
「YouTube」「Apple Music」から選んだ音楽や、録音音声をアラーム音として設定できます。お気に入りの音楽やアイドル、気になる異性の声など設定すると、快適な目覚めになりそうです。
アラームの解除方法はモグラたたきゲームや計算問題、シェイクなどから選べます。
Sleep & Alarm Clock with Music
アラーム解除の方法が、計算問題か指定番号の入力のアプリです。数字は脳の覚醒にもってこいのアイテムで、目覚めてすぐに脳トレができるため勉強開始前のリハーサルにもなります。また、番号入力の回数や計算問題の難易度も選べます。
スマートアラーム
効率よく仮眠を取る3つのポイント
効率のよい勉強のために欠かせない仮眠。その仮眠を使いこなし、効率よく眠れたら、時間をますます有効に使え、勉強にいっそう集中できます。
「仮眠を取る」と決めたとき、すぐに眠れるような体制と環境を作っておくとよいでしょう。効率よく仮眠を取るために大切な3つのポイントについて解説します。
眠くなったら無理せず、すぐに寝るのがポイントです。キリのいいところまで、とか、〇時まではがんばろう、という強い気持ちを持つことは大切ですが、すでに注意力散漫になっているなら仮眠を取る方が効率は上がります。
厚生労働省の指針によると、人間の身体は起床後、15~16時間経った頃に眠気をもよおすと記されています。朝6時に目覚めたとしたら、午後9時~10時がその時間帯です。個人差はありますが、一つの目安にはなるでしょう。
いくら眠くても、明るすぎるとなかなか寝付けないものです。かといって真っ暗では熟睡してしまう可能性もあります。適度な暗さの場所で仮眠を取るか、アイマスクの着用などの工夫も必要です。
また、パソコンのディスプレイやスマホ画面から発せられるブルーライトには注意しましょう。波長の長い強いエネルギ―を持つ光であり、水晶体を通して角膜まで届くといわれています。
電源を切るかスリープモードにしておくと寝やすくなります。
個人差はありますが、話し声が聞える場所や静まり返った環境ではなかなか寝付けないものです。逆に、雨音やせせらぎの音など、自然界のほどほどの環境雑音はホワイトノイズと呼ばれ、脳の活動を抑え眠りに就きやすいといわれています。
ホワイトノイズやα波の音楽を聴きながら眠りに入るのが効率的です。目覚ましアラームと睡眠誘導音楽とセットになったアプリも多数開発されているので、活用するとよいでしょう。
まとめ
勉強の効率を上げるには、疲れを残さず、心身共に健康な状態を保つのが望ましいでしょう。そのために大切なのが睡眠です。加えて昼寝や隙間時間での仮眠が心身の疲労回復とパフォーマンスの向上に重要な役割を担います。
5種類の仮眠法をケースバイケースで使い分け、気持ちよく寝入り、確実に目覚められる環境が整ったら万全です。
仮眠を上手く使いこなせれば、現在直面している課題のクリアはもちろん、未来に至るまでも健やかさを保てるでしょう。
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