環境で勉強の成果が変わる?集中部屋の作り方と習慣化のコツを解説
「効率的に勉強したい」「勉強へのモチベーションを維持したい」目標に向かって努力している方の中には、そのような悩みを抱えている方も多いでしょう。こういった悩みを抱えている方は、勉強内容を見直したり、精神力で乗り切ろうとしたりしがちです。
しかし、そんなときには勉強する「環境」について改めて考えてみましょう。勉強する環境を整えれば、それらの悩みを解決できるかもしれません。
この記事では「勉強をするときの環境」について解説しています。勉強についての悩みを抱えている方はぜひ参考にしてください。
勉強の効率があがる環境作り
勉強の効率を上げたいなら、勉強の効率が上がる環境づくりをしてみましょう。効率のあがらない環境で勉強していても、時間ばかりを無駄にしてしまいます。環境を整えれば「めんどくさい」「遊びたい」という気持ちも「勉強モード」に変えられます。
それでは、環境づくりについて、詳しく解説していきます。
最も勉強する場所が、自宅という方は多いものです。勉強のための環境づくりをするなら、まずは自室を整えましょう。そのためには、以下の5つのポイントを押さえることを推奨します。
「そんなことが勉強に関係があったのか」と意外に思う方もいるかもしれません。これらのポイントについて一つひとつ説明していきます。
自室には「就寝・リラックス・遊ぶ」というスペースと、「勉強する」スペースが併存しているケースが多くみられます。このように勉強以外のスペースが同じ場所に存在すると、さまざまな誘惑があるため勉強に集中するのは難しくなります。
例えば、図書館にいるときに「寝転びたい」「ゲームをしたい」とはなかなか考えないことでしょう。自室でそのようなことを考えてしまうのは、精神力が弱いせいではなく、環境が整っていないからです。
しかし一般的な家庭で寝室と勉強部屋を分けることは、あまり現実的ではありません。その場合は、パーテーションを利用して勉強机のまわりを囲い、余計なものが見えづらい状況をつくってしまいましょう。
パーテーションには、床から天井までを仕切るものもあれば、デスクの上だけを囲めるコンパクトなものもあります。コンパクトなものであれば、それほど費用もかからずに手軽に取り入れられます。
インテリアにこだわっている方の中には、勉強の目標やメモなどを部屋の壁に貼り付けるのに抵抗を感じる方もいます。その場合でも、勉強をしていないときは折り畳めるようなパーテーションになら、抵抗なく貼り付けられるのではないでしょうか。
効率的に勉強をしたいなら、部屋の明るさにもこだわりましょう。勉強する際に最適だとJISで推奨される明るさは「750ルクス」です。この明るさが一番集中して勉強ができると言われています。750ルクスとは、誰もが明るいと感じるくらいの明るさです。
一般的な家庭の照明の明るさでは少し足りないので、ライトスタンドなどを使用するとよいでしょう。ライトの色には、最も学習効果が高まると言われている、青みが強い寒色系の光を使うとさらによい効果が期待できます。
反対に、リラックスしたいときには赤みが強い暖色系の光がよいとされています。休憩時間にはこれらの明かりを取り入れましょう。日本では、一つの天井照明で部屋を照らすのが一般的ですが、欧米などではフロアライトやライトスタンド、壁付照明などを組み合わせて、その時々に合った光の色合いや明るさを楽しんでいます。
複数の照明器具を利用して、同じ部屋でも「勉強モード」「リラックスモード」で使い分けられるようにしてみましょう。
勉強用の椅子を用意する場合には、あえて座り心地の悪い椅子を選びましょう。なぜなら、座り心地のよい椅子に座ると脳がリラックスしてしまい、休憩モードに入ってしまうからです。
しかし長時間座ると姿勢が悪くなってしまったり、どこかが痛くなってしまうような椅子を選んではいけません。自分の背丈やデスクに合った高さの、体に負担がかからない椅子を選びましょう。
また、長時間座りっぱなしでいると、脳の認知能力が低下してしまうという研究報告もあります。こういった状態を避けるためには、次のような対処法が考えられます。
- バランスボールなどを椅子代わりに使用する
- スタンディングデスクを使用する
バランスボールは座っているだけで体幹が鍛えられ、集中力も上がると言われています。スタンディングデスクにも、集中力をアップさせ、腰や背中への負担を軽くする効果があります。
昇降可能なデスクを使い、立ったり座ったりすれば、スタンディングデスクのデメリットとも言われる足の疲労も抑えられるでしょう。
脳は見たもの全部の情報を処理しようとするので、余計なものがあると無駄な力を使ってしまいます。脳のリソースを無駄なく使うためには、机まわりをシンプルにするのが効果的です。机のまわりには必要最低限の物を置くようにして、あまりたくさんの色を使わないよう心がけましょう。
また、勉強をしている最中に探しものをすると、とたんに集中力は切れてしまいます。一旦切れてしまった集中力を戻すにはとても時間がかかるので、勉強に必要なものがどこにしまってあるかは、きちんと把握しておきましょう。
余談ですが、脳内には現実の本棚と連動した本棚があります。実際の本棚が整理されていると、脳内の本棚も整理されて情報を取り出しやすくなると言われています。ここでいう本棚の整理は、大きさや厚さなどを揃えて整理するという意味ではありません。
自分が勉強したい内容の本を、一番取り出しやすい位置に配置することがポイントです。優先順位をつけて、本棚の取り出しやすい位置に収納していけば、脳から知識を取り出す際にも必要な事柄がすぐに取り出せるようになるでしょう。
人が作業効率を上げやすい温度、つまり勉強に長時間集中できる温度は、18~25℃と言われています。若干低めだと感じられる方も多いかもしれません。温度が25℃よりも高くなればなるほど、作業効率は落ちていってしまいます。夏場にエアコンを入れず、汗をかきながら勉強した場合の作業効率の低下は、20%以上にもなります。
ただし、体を冷やしすぎて体調を崩してしまっては元の子もありません。温度が低ければよいと考えずに、自分の体調にも気を配りましょう。
また湿度については、一般的に心地よいと感じるくらいの45~55%が最適です。湿度が10%上がると、体感温度は1℃上がります。温度を調節しても、湿度が高いままだと作業効率は下がってしまいます。
部屋には温度計と湿度計を用意し、常に気にするようにしましょう。
勉強するのに環境作りが重要な理由
脳と環境はシンクロしています。勉強に適した環境なら集中できるが、遊びの環境でなかなか集中できないのは当然です。集中できないのは、精神力の問題だけではありません。
環境を整えることで、初めて高いパフォーマンスを発揮できるようになることを忘れないようにしましょう。勉強に最適な環境は以下のような効果をもたらします。
勉強した時間と成果は、必ずしも正比例するわけではありません。集中して勉強できなければ、どんなに時間をかけても知識は思ったように身につきません。反対に、集中して勉強ができれば、短時間でも大きな成果を得られます。勉強に最適な環境をつくれば集中して勉強ができ、結果的に短時間で多くの知識を身につけられるようになるでしょう。
短時間で十分な勉強ができるということは、自分にとっての負担が減るということです。勉強が楽になれば、そのぶん継続的に勉強をしやすくなります。
環境を整えることは、小手先のテクニックよりもずっと重要です。勉強をしようと本気で思うならば、集中できる環境づくりを、勉強と同じくらいの熱量で取り組むべきといえるでしょう。
「勉強をしたい!」と一時的にモチベーションが上がることは、誰にでもあります。しかし、それを長期間継続させるのは大変難しいことです。モチベーションをキープできた人だけが、勉強をずっと続けられるといってもよいでしょう。
自分の部屋を集中できる環境にしたり、自分の中で勉強のスイッチが入るようなルーティンづくりをしたり、対人関係で勉強に集中できる環境を整えたりすることで、モチベーションを維持しやすくなります。
勉強はとにかく続けなければ意味がありません。数週間、数ヵ月間だけ勉強するのではなく、勉強が習慣として定着するまでやり続けなければなりません。
そう考えると、効率的な勉強方法や集中力を上げる方法を学ぶよりも、モチベーションをキープさせることが一番重要なのがわかります。環境の力をうまく利用して、継続的に勉強をしていきましょう。
勉強する環境を整えれば、モチベーションを維持できるだけでなく、勉強に対するやる気も生み出せます。やる気がどうしても出ない方は、もしかしたら環境が脳に悪影響を及ぼしている可能性もあります。そのような方は、一度勉強から離れ、勉強するための環境づくりに力を入れてみましょう。
部屋を整えるだけでなく、勉強をする空間に行くことで勉強せざるを得ない状況にしたり、協力してくれる家族や、一緒にがんばる友人の存在を意識したりすれば、きっと自分のやる気を刺激できるはずです。
自分の長期目標や短期目標を張り出してそれを見るというルーティンや、勉強の記録をつけるルーティン、憧れの人の本を読むルーティンなど、習慣による環境づくりもやる気づくりに非常に役に立ちます。
まとめ
勉強する環境を整えれば、集中して勉強ができたり、勉強に対するモチベーションを維持できたり、やる気を生み出したりできます。勉強を続けるのは、精神力の問題と捉えがちですが、環境を整えればそれほど強い精神力を使わなくても、勉強を続けられるでしょう。
まずは自室の環境を整えて、次に自宅以外でも集中できる環境を意識し、そして勉強のルーティンを身につけましょう。まわりの人たちに、自分が勉強していることを伝えるのも忘れてはいけません。環境の力を使って、効率的に勉強をしていきましょう。