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OJT期間はどれくらいとるべき?Off-JTも踏まえて期間を決めよう

OJTの平均的な期間は3カ月~1年とされていますが、明確な基準はありません。

それぞれの企業のビジョンに基づいた、新人教育の目指すべきゴールと、現状との差がOJT期間設定の目安となります。
計画段階での情報共有はもちろん、OJT実施中もステップに応じたOff-JTでの情報共有が必要です。

ここでは、OJT期間の長短によるメリット・デメリットを検証し、Off-JTを踏まえたOJTの適切な期間設定のポイントを解説します。

OJT期間はどれくらいとるべき?Off-JTも踏まえて期間を決めよう

OJT期間は3ヶ月〜1年が平均

職種や業務によって差はありますが、新入社員が技術を習得し、イレギュラーにも対応できるようになるには最低でも3ヶ月が必要といわれています。
さらに複合的な業務を必要とするケースや、仕事を担当させながらの育成を踏まえて、1年を目途にOJTの成果を検証するのが一般的です。

1年を超えると、成果を把握しにくくなったり、移動や社内の改変に対応できなくなったりするデメリットが出てきます。

OJTの具体例は下記サイトをご参照ください。

OJTとは?導入・実施する上でのポイントを具体例から解説!

OJT期間が長いことのメリット・デメリット

OJT期間は長い方がじっくり育てられる反面、間延びしてモチベーションが低下するデメリットもあります。
どのような人材に育てたいかによって長さも変わってくるでしょう。

OJT期間が長い場合のメリット・デメリットについて解説します。

1.OJT期間が長いことのメリット

OJTの期間を長くとると、新入社員をじっくり育てられるメリットがあります。

例えば、技術の習得に要する期間、実践していく期間、そして自立を促していく期間など、成長段階に応じた教育ができるため、将来を見据えた確実な人材育成が可能です。

また、OJTはマンツーマンの個別指導なので、OJTを受ける側の個々の能力によって指導方法も変わってきます。
受ける側の本来の能力は、実際にOJTを実施しなければわかりません。仕事への適性や不得意な分野が実施期間中に洗いだされ新たな課題となります。

そのため、OJT期間を長く設定しておくと、新たな課題に対しても適宜軌道修正しつつ、余裕のあるスケジュールを組めるでしょう。

2.OJT期間が長いことのデメリット

長期間のOJTは、ともすれば慣れ合いになりがちです。慣れ合いはOJTの進行を遅らせ、プレッシャーに弱い人間を育ててしまいます。

初期段階では情熱的に指導していたトレーナーも、基本的な指導を終えると自分の業務に比重を置くようになり、OJTを放置してしまうケースも少なくありません。
実際、「1年も教えることはない」「忙しくて教える暇がなかった」と口にするトレーナーもいます。

これらの事例は、トレーナーの人選ミスともいえますが、 OJTを受ける側にとっても、長過ぎる育成期間はモチベーションを維持しにくいといったデメリットがあります。

長いOJT期間中の待遇に慣れてしまった新人は、期間終了後、急に厳しくなった職場環境のプレッシャーに耐えられなくなる可能性もあるでしょう。最悪の場合、離職するケースもあります。

OJT期間が短いことのメリット・デメリット

OJT期間が短いとトレーナーや企業としては負担が減り、受ける側も早い段階で自立できるメリットがあります。
一方で、中途半端な教育のまま放置される危険性も否定できません。

OJT期間が短い場合のメリット・デメリットについて解説します。

1.OJT期間が短いことのメリット

基本的には、OJTの期間は短いに越したことはありません。
なぜならば、トレーナーも企業もOJTに要する時間と労力が少なくてすみ、OJTを受ける側も仕事を早く覚えられるからです。

OJTの期間が短い場合、受ける側は入社したばかりの高いモチベーションを維持したまま仕事を覚えられます。また、短期間で吸収しなければならないプレッシャーへの耐性も養われ、OJT終了後の反動も少なくてすみます。

そのため、OJT終了後も仕事への高いモチベーションを保ったまま貪欲に吸収し、プレッシャーに強い即戦力となる可能性が高いでしょう。

企業としても新人育成への負担が減り、短期間で戦力が増えるメリットがあります。

また、事務職や製造工など、定型的な繰り返し作業の多い職種は、短い期間のOJTが多く見受けられます。

2.OJT期間が短いことのデメリット

OJT期間が短い場合、トレーナーにも受ける側にも焦りが生じる可能性があります。

トレーナーの負担が増し、自分の仕事の進行が遅れたり、焦りが高じて新人にパワハラまがいの教育をしたりする可能性も出てくるでしょう。

パワハラやプレッシャーに耐え切れなくなった新入社員が早々に離職したり、逆に、期待に応えようと焦って大きなミスをしてしまったりする場合もあります。

過去には、結果を急いだ新人がキャンペーンを実施し、ある程度の利益は上げたものの、そのあとのクレーム処理に追われたとの事例があります。

OJTが短期間で終わってしまい、未熟なまま一線で働かざるを得なくなった新人が功を焦った結果といえるでしょう。
OJTとOff-JTを組み合わせた期間

OJTとOff-JTを組み合わせて期間を決める

OJTの対義語として用いられるOff-JT(Off The Job Training)は、主に講義やセミナー、宿泊研修など職場外で行われる座学研修を指します。

OJTの合間にOff-JTを組み合わせると、バラつきのあった個々のOJTの進捗を平均化させ、それまでの効果を客観視できるメリットがあります。
そのため、OJTとOff-JTを交互に組み合わせ、進捗状況に応じて適宜軌道修正していくと、効果的な新人教育が可能です。

人事部主導のOff-JT

新入社員研修に代表される人事部主導でのOff-JTは、主に社会人としてのマナーや心構え、会社のビジョンやミッションについて教育します。企業によっては、そのあとも若手から中堅社員への過渡期のキャリアアップのための研修、幹部候補へのマネジメント研修などを行います。
このように、ほぼ決まった時期に定期的に行われるのが人事部主導のOff-JTです。

プログラムに基づいた一連のセミナ―、人事部の教育担当者や経営陣による講義、専門家を招致してのセミナーなどが行われ、社会人・会社員としての幅広い知識を得られるメリットがあります。

会社全体としてのOff-JTなので高い頻度での実施は難しく、OJT期間中に盛り込むとすれば多くても月に一度くらいの頻度になります。

人事部主導のOJT

人事部としてのOJTは会社の業務全般につながる基本的な仕事を学びます。例えば、新入社員研修の一環として、社内のひと通りの部署を一定期間ずつローテーションするOJTです。

最も適性の高い部署への配属の判断材料となります。

人事部はどちらかといえばOff-JTが専門です。したがって、人事部主導で行われるOJTは比較的短期間で行われるケースが多く、各部署のトレーナーがついたとしても形式的になりがちです。

トレーナーもOJTを受ける側も、本来の力を発揮しないうちに配属先が決まってしまうケースも否定できません。人事部主導のOJTも、可能な限り期間を長く設定し、じっくり配属先への適性を確認するのが望ましいでしょう。

現場主導のOff-JT

厚生労働省の調査によると、Off-JTの実施率は常に70%台を維持しています。

正社員に対してOff-JTを実施した事業所割合の推移(3年移動平均)

正社員に対してOff-JTを実施した事業所割合の推移(3年移動平均)
 引用元:厚生労働省「能力開発基本調査」の結果

Off-JTの高まりの背景にあるのが、OJTを担うべきベテラン社員の退職や就職氷河期にあたる中堅社員の人材不足です。

企業としては、まとめて教育できるOff-JTは効率的でレベルを平均化できるため、現場主導でのOff-JTも選択肢の一つになります。

現場主導のOff-JTは部署特有のルールの共有、実践する技術を知識として体系づけられるメリットがあります。
OJTの期間中、ステップごとの節目や、現状認識と軌道修正のために適宜Off-JTを取り入れる企業も少なくありません。

そうすることによって、Off-JTとOJTの相互作用により高い育成効果が見込まれます。

現場主導のOJT

即戦力育成の最短方法とされ、一般的なOJTといわれるのが現場主義のOJTです。

Off-JTが高い水準を維持しているのは現実的な問題が主な原因ですが、企業としてのニーズはOJT重視の傾向にあります。
厚生労働省によると「正社員教育においてOJTを重視する」と答えた企業が20.5%、「またはそれに近い」と答えた企業は53.1%となっています。

重視する教育訓練(正社員、正社員以外)

重視する教育訓練(正社員、正社員以外)
 引用元:厚生労働省「能力開発基本調査」の結果

人材不足とはいえ、現場主導のOJTは不可欠です。

現場主導のOJTでは、技術の習得はもちろん、納期やレギュレーションなどのルール厳守を指導し自立を促します。
過度なプレッシャーにならない範囲の高いモチベーションを維持させ、「報告」「連絡」「相談」のいわゆる「報連相」を徹底させなければなりません。
OJT計画書

OJT計画書を設定してメリハリをつける

OJTの主なデメリットは「モチベーション維持の難しさ」と「プレッシャー・焦り」です。

とはいえ「モチベーションの維持」には、ある程度の「プレッシャー」が必要であり、適度なプレッシャーのメリハリをつけて耐性を養うことも大切です。そのメリハリをつけるには計画書を作成するのが望ましいでしょう。

目指すゴールと現状とのギャップを洗い出し、課題と期間の設定、段階に応じたフィードバックなど、計画書作成のポイントについて解説します。

必要なスキルや知識を洗い出す

OJT計画書作成の第一歩は、必要なスキルや知識のピックアップです。目指すゴールと現状とのギャップから洗い出されます。

すなわち、「何が不足」し「何を習得」しなければならないかです。

「不足」を補うための経験は何回ぐらい必要なのかの目安と、「習得」すべき何かがわかれば自ずとOJTの全体像が見えてきます。

課題の洗い出しは、トレーナーとOJTを受ける側との共通認識であることはもちろん、人事部ともじっくり話し合う必要があります。

OJT期間を明示する

全体的なOJTの期間と、習得すべきスキルの取得期限は、トレーナーとOJTを受ける側との共通認識とし、もちろん人事部とも共有しなければなりません。
段階ごとの期限設定はモチベーションを高め、期限内で達成できたかどうかによって次の課題・目標も決まってくるからです。

人事部は段階ごとの達成度に応じて柔軟にフォロー体制を整えましょう

仕事によっては複数のスキルを同時進行する場合もあり、OJTの進行が複雑化されるケースも少なくありません。そのため、見える化された計画書の作成が重要性を増します。

ステップごとに面談する機会を作る

OJT計画書には、ステップごとの面談を盛り込んでおくとOJTがスムーズに進行します。適度な面談は、モチベーションの維持とリアルタイムでの情報共有に有効なためです。

面談はOff-JTでもあり、ステップに応じて個別に行う場合と、月次単位のような大きなスパンの全体面談の2種類があります。

個別の面談では、それぞれの課題や実施後に見つかった問題点などのフィードバックとフォローアップを行います。
全体面談で行われるのは、情報共有と現状認識に基づいた全体的なフォローアップです。
OJT期間

まとめ

OJT期間の判断は、OJTだけで考えず、Off-JTを盛り込んだ育成計画を立てることが大切です。
目指すべきゴールへ向けた課題を洗い出し、それぞれの課題解決への期限を設ければ自ずと全体が見えてきます。

計画段階での情報共有はもちろん、OJT進行中もOff-JTを交えながらリアルタイムで情報共有が必要です。

OJTの期間は、会社の都合や他社の基準で判断するものではなく、どれだけの期間が必要かを基に考えなければなりません。そのため、OJTを実施する際は計画書の作成から始めるようにしましょう。

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