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効率の良い暗記方法とは?脳のメカニズムを知って効率よく暗記しよう

勉強で新しい知識を身につけるときに役立つのが「暗記」です。しかし、暗記で知識を身につけても、なかなか定着せず、忘れてしまうことも多いもの。より効率よく知識を吸収するには、どのような方法があるのでしょうか。

この記事では、効率の良い暗記方法や短期間で暗記する方法、人の脳が忘れてしまう仕組みについて詳しく解説していきます。
暗記を使った勉強方法で、うまく知識が定着できずに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

効率の良い暗記方法とは?脳のメカニズムを知って効率よく暗記しよう

効率のいい暗記の方法

効率のいい暗記方法は以下の5つです。

  1. 一回で覚えようとしない
  2. 楽しく覚える
  3. 細かく区切った時間を使う
  4. 夜寝る前に行う
  5. アウトプットをセットにする

「せっかく暗記したのにすぐ忘れてしまう」と悩んでいる方は多いもの。それは記憶力が悪いのではなく、暗記するコツをつかんでいないだけなのです。暗記のコツをつかむことで、今まで以上に知識が定着しやすくなります。暗記のコツはどれもすぐに始められる簡単なものばかり。効率のいい暗記方法について、詳しく見ていきましょう。

一回で覚えようとしない

暗記した知識を定着させるには、一回で覚えようとせず、何度も繰り返して復習することが重要になります。暗記を利用した勉強方法でよく目にするのが「エビングハウスの忘却曲線」という実験結果です。

エビングハウスの忘却曲線とは、心理学者のヘルマン・エビングハウス氏によって検証された「物事をどのように忘れていくのか」を記した曲線になります。
エビングハウスの忘却曲線では、「一度に多く覚えるよりも、時間をかけて複数回学んだ方が効率が良い」という結果が出ました。

この実験結果をもとに、効率的に暗記するには「一回で覚えようとしない」ことが重要となっているのです。一度覚えたことを何度も復習することで知識が定着するため、夜に覚えた知識を朝にもう一度テストとして解いてみるなど、勉強方法にも工夫が必要になります。

楽しく覚える

暗記する内容にストーリー性を持たせるなど、楽しく覚えることも大切です。学生時代には「水兵リーベ僕の船」「1192(いいくに)つくろう鎌倉幕府」など、語呂合わせで暗記をした方も多いのではないでしょうか?実は、語呂合わせは効率の良い暗記方法として、とても効果的です。

私たち人間には、自分に関わりの深い物事は忘れにくいという傾向があります。そのため、暗記したい内容を自分に関わりのあるストーリーとして、物語性を持たせて忘れにくくさせるといいでしょう。

ここで注意したいのが「語呂合わせばかり覚えてしまっている」ことです。例えば「794(なくよ)うぐいす平安京」と覚えていても、794が何を指すのかわからなくては意味がありません。
語呂合わせと、その意味をきちんとセットで覚えることが大切なのです。

細かく区切った時間を使う

一度に長時間使って暗記しても、うまく知識は定着しません。それよりも覚える量を絞って、短期集中型で暗記に臨むのがよいでしょう。より効率のいい暗記方法として、理想的な1時間の使い方をまとめてみました。

・効率のいい暗記方法
通勤時間15分、昼休憩15分、帰宅時間15分、寝る前15分で暗記をする

・効率のよくない暗記方法
夕食後、1時間かけて暗記に取り組む

より効率的な暗記方法は、こまめに区切った時間を使うことです。通勤時間や休憩時間、寝る前の時間を使って少しづつ反復して覚えるのがよいでしょう。人間の記憶は長期・短期の2つに分けられます。

暗記したことを忘れてしまうのは、暗記が短期記憶だと処理され、脳に「生きていくために必要ない情報である」と判断されてしまうからなのです。

そのため、何度も反復して暗記することで、脳が「これは重要な情報だ」と判断し、忘れにくい長期記憶になることも考えられます。この仕組みを利用して、暗記した内容を定着させることが効率化につながります。

夜寝る前に行う

暗記学習は夜寝る前に行うのが効果的です。睡眠中に脳内の情報を整理して定着させるため、寝る30分前に暗記を行うのがおすすめ。暗記に使う時間が長すぎても効率的ではないため、短期集中がいいでしょう。

さらに、暗記学習後はすぐに寝るのがポイントです。暗記しても、その後に何かするだけで暗記した内容を忘れていってしまいます。朝スッキリと目覚めるためには、睡眠の質も大切です。寝る前にスマホを見てダラダラするのは避けましょう。

ここで注意したいのが「徹夜で暗記をがんばること」です。学生時代、テスト前に徹夜で暗記を頑張ったことがある方も多いのではないでしょうか。効率的に暗記をするには、脳内の情報を整理するための睡眠は欠かせません。

「1時間暗記をするくらいなら、1時間早く寝た方がいい」と言われるほど、暗記にとって睡眠は大切です。一睡もせずに覚えた知識は定着しにくいため、睡眠時間の確保を優先しましょう。

アウトプットをセットにする

効率的な暗記方法として知られているのが「アウトプットをセットにする」ことです。暗記している内容を友達にわかりやすく説明するなど、アウトプットをセットにすることで、情報が整理され、より記憶に残りやすくなります。

友達に話すアウトプット方法は、自分が覚えきれていない部分や理解できていない部分を見つけるのにもぴったりです。うまく説明できない部分や理解しきれていない部分は、あらためてインプットし直すようにしましょう。

友達に話すだけでなく、問題を解くのもアウトプットとして効果的です。より効率よく暗記したい場合は、夜寝る前に暗記した内容を、朝にアウトプットするのがおすすめ。また、英単語などを覚える場合には、自分の言葉を使ってアウトプットするとよいでしょう。

自分の言葉でノートにまとめることで、「すでに覚えている知識」と「新しい知識」が脳内で結びつくため、普通にアウトプットするよりも記憶に残りやすくなります。

人はどうして忘れてしまうのか

これまで、より効率的な暗記方法について紹介してきました。暗記を成功させるには、いかに脳が忘れないようにできるかが大切です。そもそも、人はどうして忘れてしまうのでしょうか。実は、忘れることは脳にとって必要不可欠な働きなのです。

人間は1日生きるだけでも、さまざまな情報が脳に送られます。今日の日付、朝食のメニュー、今日の仕事の内容、新しく赴任してきた人の名前など、その数は情報量にすると膨大な数になります。
脳には、これらすべての情報をキープしておくほどの容量がないため、「命に関わるものではない」と判断された情報から、忘れていってしまうのです。

正確には、忘れてしまうのではなく、思い出しにくくなるというのが正しい表現になります。一度忘れていた記憶でも、何かのきっかけで思い出すのは、そういう仕組みとなっているからです。ここでは、脳の内部で記憶を司る海馬や、記憶の仕組みについて詳しく解説していきます。

海馬の働き

脳内の記憶を司るのは、海馬という部分です。海馬は記憶を忘れる場合に役割を果たします。先ほど紹介した、脳内の情報を「命に関わるものではない」と判断する役目があります。

海馬に「不要」と判断された情報はどんどん忘れられ、脳内の記憶を整理していくのです。この仕組みをうまく利用して、より効率的に暗記をする方法があります。それは「海馬に必要な情報だと思わせること」です。

脳内の情報には「長期記憶」「短期記憶」の2つがあります。海馬に必要だと判断された情報は「長期記憶」です。暗記した内容を長期記憶にするためには、何度も復習を重ねて、海馬に「必要な記憶だ」と判断させる必要があります。

  1. 一回で覚えようとしない
  2. 楽しく覚える
  3. 細かく区切った時間を使う
  4. 夜寝る前に行う
  5. アウトプットをセットにする

先ほど紹介した、上記の「効率的な暗記方法」は、どれも暗記した内容を長期記憶にするための方法なのです。

短時間や一夜漬けで暗記する方法

短時間や一夜漬けで暗記する方法

これまで、効率的に暗記をする方法について紹介してきました。効率的な暗記には、複数回の復習やインプット・アウトプットのバランスがとても大切です。

しかし、暗記に時間が取れない場合などは、短時間や一夜漬けに頼ってしまいがち。実際のところ、短期間や一夜漬けでも効果的に暗記する方法はあるのでしょうか?

そこで、短時間や一夜漬けで効果的に暗記する方法について、詳しくまとめてみました。

五感や体を刺激させる

短期間で暗記をするには手を動かして覚えるのが効果的、と言われていますが、声を出して聴覚を使って覚えるのも1つの方法です。目で見る・耳で聞くなど五感を刺激することで、より効果的に知識を定着させます。
英単語の暗記などは、発音も確認しながら暗記できるため、より積極的に取り入れたい方法です。

また、暗記学習をする前に体を動かすのもおすすめ。アメリカのイリノイ大学の研究によると、10分間散歩をしてから暗記をした人と、散歩をせずに暗記した人では25%も記憶力が異なるという結果が報告されています。

この研究から、暗記学習をする前には体を動かしておくと効果的であるといえます。

五感を使うことで暗記を効率的に行うには、視覚からの刺激も効果的です。暗記したい内容を図にまとめ、イメージとして覚えることで、知識が定着しやすくなります。内容が理解しづらい場合は、言葉で説明されている内容を図にまとめてみるとよいでしょう。

ノーベル賞でも証明された「場所法」を使う

短時間での暗記におすすめの方法として、ノーベル賞でも証明された研究「場所法」を使ってみましょう。私たちは、脳内の海馬に「場所を記憶するための記憶細胞」を持っています。

1つの建物であっても、トイレの場所は記憶細胞①が、屋上の場所は記憶細胞②が、というように、1つずつの場所をそれぞれの記憶細胞が覚えて「建物全体を覚える」ということにつながるのです。

この方法を使えば、1週間前に友達と話した内容は覚えていなくても、10年前に住んでいたアパートの周辺は思い出せる、という現象が起こります。この場所法を使った暗記方法は簡単です。
「場所」と「覚えたいもの」をセットにして覚えることで、短時間や一夜漬けでも効率的に暗記できます。

例を挙げて見ていきましょう。

例)ノートを買うことを覚えておきたいとき(場所:自分のベッド)

頭の中で、自分の部屋に入る想像をします。ベッドの上にたくさんのノートがあって寝ることができない自分をイメージしましょう。

このように「覚えたいこと」と「場所」を関連づけていく簡単な暗記方法です。平凡なストーリーをイメージするよりも、劇的な展開でイメージすると定着しやすくなります。

一度思いきって寝る

暗記した知識は睡眠によって定着するため、一度思い切って寝ることも大切です。睡眠時間を削って暗記に取り組むのは、実は逆効果といえます。夜は暗記学習に適した時間帯ですが、その中でも特に「ゴールデンタイム」と言われるのが眠りにつく30分前とされています。

また、睡眠前に覚えた知識は起床後にどんどん忘れてしまうのが難点です。起床後に忘れてしまうのを防ぐためにも、復習を組み合わせるのがポイント。
必要な暗記を睡眠前に行い、朝起きたら復習するのが最も理想的な勉強方法です。脳が情報を整理し、知識を定着させるには、最低でも6時間ほどの睡眠時間が必要と言われています。

さらに知識を定着させたい場合は、寝る前に新しく覚えたことを思い出すだけでも効果的。短期間で暗記しなければならない時こそ、しっかり睡眠をとって知識を定着させていきましょう。

まとめ

効率のいい暗記方法は以下の5つ。

  1. 一回で覚えようとしない
  2. 楽しく覚える
  3. 細かく区切った時間を使う
  4. 夜寝る前に行う
  5. アウトプットをセットにする

「暗記してもすぐ忘れてしまう」という悩みは多いですが、その理由は脳の海馬が「これは必要ない情報」と判断していることが理由です。暗記した内容をキープして役立てるには、海馬が「これは必要な情報だ」と判断するように仕向けるのが重要。

上記の暗記方法は、海馬が情報を「必要だ」と判断するために効果的な方法となっていますので、ぜひ参考にして見てください。

どうしても一夜漬け・短期間で暗記したいという方には「場所法」というテクニックもおすすめ。覚えたい内容と場所を関連づけてイメージするだけなので、すぐに活用できます。

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