【今すぐ改善】OJTに向いていない人の特徴6選!トレーナーがOJT成功の鍵
OJTのトレーナーには、向き不向きがあります。また、トレーナー自身ではなく、会社のフォロー体制に問題がある可能性もあります。
そのままの状況にしておくと、うまく人材が育たないどころか、新人社員の離職につながってしまう場合もあるでしょう。
この記事では「OJTのトレーナーに向いていない人の特徴」や「OJTのトレーナーになった場合に意識すること」「OJTトレーナーの育成」について解説します。OJTがうまくいかなくて悩んでいる人事担当の方や、OJTトレーナーの方は参考にしてください。
OJTに向いていない人(トレーナー)の6つの特徴
OJTトレーナーに向いていない人には、次のような6つの特徴があります。OJTによる育成がうまくいっていないと感じたら、トレーナーに次のような傾向がないか、またトレーナー自身は、自分が以下の特徴に当てはまっていないかをチェックしましょう。
これらの特徴があると、OJTによって教育を受けている方は、うまくスキルが身につかなかったり、ストレスを抱えてしまったりします。
ここからは、これらの特徴を詳しく解説します。
そもそもOJTとはどんな人材育成方法なのか?詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
否定ばかりしてしまうトレーナーは、指導に向いていません。教育される受け手側は、否定ばかりされると自信がなくなり、かえってスキルの習得が遅くなってしまいます。トレーナーと受け手の関係も悪くなりやすいでしょう。
OJTのトレーナーには、先輩社員が選任される場合が多いです。年齢が近く、トレーニング中はともに行動する時間が増えるので、トレーナーはつい言いたい事柄をそのまま口にしやすくなります。
そこで起きるのが、「つい否定から入ってしまう」ことです。最初は受け手が何もわからないので、「そうではない」「こうではない」と否定する機会が多くなってしまうのはある程度仕方ないかもしれません。
しかし、トレーナーが「絶対こうあるべき」「そんなやり方は間違っている」と、やり方が自分と少しでも違うのに敏感に反応したり、できなかった部分ばかりにフォーカスしてしまったりするのは、上手い指導とはいえません。
否定ばかりされた新人社員は、萎縮して自分の意見を言えなくなったり、自分はできない人間だと考えたりしてしまうでしょう。
トレーナーは、「批判」と「叱る」を混同させないように意識しながら、新人社員ができるようになった事柄にも目を向け、否定ばかりしないように気をつけなければなりません。
指導において、業務の目的や意味を伝えない方は、トレーナーに向いていません。OJTは実務を行いながら教育をするため、指導の内容が業務の手順ばかりになってしまいがちです。
しかし、それぞれの業務には目的や意味があり、ただできればいいものではありません。一つひとつの業務について「なぜやるのか」「やるとどうなるのか」などについても、丁寧に教えていく必要があります。
業務の意味がわからないままだと、「指示を待つだけしかできない状態」になってしまいます。反対に、業務の目的や意味が理解できれば、新人社員は自分の考えを持ち、なにをすればよいか判断できるようになるでしょう。
新人社員を放置してしまうと、当然新人社員はまったく成長できません。このような状況になってしまう原因は3つあります。
- トレーナー自身の業務が手一杯で指導に当てる時間がない
- トレーナーが自分の業務ばかりを優先してしまう
- トレーナーが「仕事は見て盗め」といった考え方をもっている
トレーナーは、普段の自分の業務に加えて新人の教育をおこなわなければなりません。トレーナーが自分の業務で手一杯といった場合には、上司に相談して業務を分担するか、トレーナーを誰かに代わってもらうなどの対処をしなくてはなりません。
ただ、トレーナー自身の業務量に問題がなかったとしても、トレーナーが指導を優先順位の低いものだと捉え、自分の業務ばかりを優先してしまう場合もあります。そういった場合は、トレーナー自身の考え方を改めさせる必要があるでしょう。
どちらにせよ、自身の業務と指導のバランス取りは、OJTトレーナーの誰もがぶつかる悩みかもしれません。
また、「仕事は見て盗め」といった考え方も、現代では通用しづらいです。きちんと模範を見せて、業務の目的や意味を教え、実際にやらせてみてフィードバックを行う姿勢が大切です。
前の見出しでは、「放置している」トレーナーは指導者に向いていないと書きました。しかし、反対になんでも細かく教えすぎる方も、OJTトレーナーには向いていません。
なんでも教えすぎる指導方法のデメリットは以下の2つです。
1から10まで教えすぎると、受け手側に自分で考える余地がなくなってしまう
受け手が仕事を「やらされている」感覚に陥ってしまい、仕事へのモチベーションが下がる
受け手にとってやり方が合わない場合がある
事細かに教えるのは、トレーナーにとっては手間ですが、その割には高い成果を望めません。OJTでの人材育成では、ある程度教えたら、ヒントや問いかけを与えて考えさせるようにするのがポイントです。
トレーナーが教えた方法が、受け手にとって合わない場合があるとも考え、「さまざまなやり方があり、結果が同じなら多少違ったやり方でもかまわない」といった寛容さを見せるのも必要でしょう。
OJTトレーナーは、自分の基準を新人社員に押し付けてはいけません。トレーナーの中には、「自分がやっている方法が一番優れている。新人社員にもそれを教えたい。」と考える方がいます。
しかし、そのやり方が必ずしも受け手の新人社員に合っているとは限りません。新人社員も、スタンダードなやり方がわからない状態のまま、トレーナーの我流の仕事方法を教えられては、不安になってしまう場合もあるでしょう。
トレーナーが我流のやり方を教える場合には、「標準的な考え」+「自分はこう考えている」と伝えなければなりません。また、そのうえで新人社員がどのやり方を選ぶかについても、口を出すべきではないでしょう。
自分のやり方を新人社員に押し付けるトレーナーは、自分の経験がすべて正しいと思い込んでいる傾向があり、「自分のときより飲み込みが悪い」「自分だったらこうするに違いない」と自分の基準で新人の能力を測ってしまいがちです。
スキルの習得の仕方は個人によって差があり、さまざまな考え方が存在するとトレーナーはよく理解する必要があります。
OJTに限らす、愛情がないトレーナーは新人教育に向いていません。特にトレーナーと受け手の距離が近いOJTでは、愛情のある指導が求められます。
新人社員は、慣れない環境でできる業務も少なく、強い不安を感じている場合が多いです。そのような新人社員の気持ちを理解し、寄り添う姿勢がトレーナーには求められます。
トレーナーは、新人社員の悩みに寄り添ったり、成長を信じてあげたりして信頼関係を強くしていかなくてはなりません。
受け手側は、1人の人間として接してもらえないと、トレーナーを信用できず、熱心に学ぼうといった気持ちが薄くなりやすいです。
新人社員にとって、トレーナーはその企業で初めて深い人間関係を築く相手となります。トレーナーの教え方や態度で、新人社員が感じるその会社の印象は大きく変わるでしょう。
その会社で長く、高い成果を出せる人材に育てるためには、愛情をもって育てるのが最も重要です。
OJTに向いている人になるために意識すること
ここまでは、OJTに向いていない人の特徴について解説してきましたが、ここからは、「OJTに向いている人になるために意識すること」を紹介します。OJTトレーナーが意識すべき点は次の3つです。
現在向いていない特徴をもっている方でも、これらの知識を得て、意識できるようになれば、きっと良いOJTトレーナーとなれるでしょう。それでは、これらについて詳しく説明します。
OJTは、トレーナーが一方的に業務を教えるのではなく、お互いにコミュニケーションをとりながら、受け手のスキルを伸ばしていく方法です。そこでは、以下のような指導方法が重要となります。
- 相手の考えをしっかりと聞く
- 具体的にどこがよかったのか褒める
- どこをどうするとよくなるのか叱る(指導する)
良い指導者は「聞き上手」といった特徴があります。トレーナーは、受け手の気持ちやわからない事柄、受け手が自分の中で課題として掲げている事柄などを聞き、受け手をよく理解しなければなりません。
また、指導の中では褒める行為も重要です。新人社員の成果を出したときには、必ずそれに対する評価をしましょう。そうすれば、受け手の新人社員は仕事へのモチベーションを高められます。
一方で、新人社員が間違っているときには、叱らなければなりません。その場合には、なるべくほかの人がいないところで、感情的にならないように指導しましょう。また、相手の人間性を損なう言い方になっていないかにも注意を払わなければいけません。
「聞く」「褒める」「叱る」は、一気に取り入れるのは難しいかもしれません。
- 聞く:相手を理解する
- 褒める:関係性をよくする
- 叱る:言いたい事柄を伝える
この順番で取り入れると、うまくいきやすいと覚えておきましょう。
指導方法には、ティーチングとコーチングがあります。それぞれにメリットとデメリットがありますが、OJTでは、コーチングの割合を多くしたほうがうまくいきやすいです。
ティーチングとコーチングの違いはこちらです。
教え方 | ティーチング | コーチング |
特徴 | 業務のやり方や進め方を具体的に教える | 質問を用いて自分で考えさせ、答えを導く |
メリット | ・習得が早い ・一度で大人数に教えられる |
・モチベーションが高くなりやすい ・問題解決能力が身につく |
デメリット | ・受け手の個性が出せない ・受け手の自信につながりにくい |
・習得に時間がかかる ・少人数でないと指導が難しい |
学校教育はティーチングなので、教えるというとティーチングの意識が強いかもしれません。しかし、自分で考えて仕事ができる人材に育てるためには、コーチングの手法をとったほうがよいでしょう。
トレーナーと受け手が1対1となるOJTは、コーチングがしやすいので、実践しやすくもあります。手が届きそうなストレッチ目標を与えて、うまく導いていきましょう。
OJTを成功させるには、相手に対する理解が非常に大切です。トレーナーが受け手からの信頼を得るためには、まず相手に対して真剣に向き合うべく努めなければなりません。
そこで、トレーナーは受け手の言う事柄をよく聞き、価値観や経験、関心領域などを理解する必要があります。そうすれば、自然と受け手のレベルや価値観に沿った指導ができるはずです。
新人社員が、「トレーナーは自分をよく理解してくれている」と感じられれば、安心して新しい業務に挑戦していけるでしょう。
新入社員には、下の記事のような特徴があります。決めつけずにコミュニケーションをとるのが大前提ですが、これらの情報は受け手を理解するヒントとなるかもしれません。
新入社員の特徴について気になる方は、ぜひ読んでください。
OJTトレーナーの育成
OJTを行うには、受け手の教育の前にトレーナーの育成が必要です。OJTトレーナーの育成は、以下の3つの柱から成り立ちます。
人材育成において、OJTトレーナーに指導のすべてを丸投げしてしまったら、OJTを成功させるのは難しいです。人事部や上司、人材開発部などは、新人の育成計画をトレーナーと共有し、チームとして育成に取り組まなければなりません。
そのためには「新人をどうやって育成していくのか」といったビジョンを事前に決めておき、双方が理解しておく必要があります。そうすれば、OJTトレーナーはやみくもに指導するのではなく、目的をもって指導ができるでしょう。
また、トレーナー自身がOJTを主体的に取り組めるようにも導かなければなりません。OJTの計画段階で、OJTトレーナーには、トレーナー業務の重要性ややりがいについても理解を深めてもらいましょう。
OJTトレーナーには、トレーナーとしてのスキルを教育しなければなりません。OJTトレーナーには比較的若手の社員がなる場合が多く、それまでに人に何かを教える機会がなかった方ばかりなのです。
業務を行うのと、何もわからない新人社員にわかりやすく教えるのとでは、別のスキルが必要となります。
OJTトレーナーとして指導を始める前に、トレーナーにはコミュニケーションやコーチング、フィードバックの仕方などをOFF-JT(集合教育)で教育しておくとよいでしょう。
またOJTトレーナーには、OJTは自身の成長のチャンスでもあると理解してもらいましょう。トレーナー業務は、指導力やコミュニケーション能力の向上、さらなる業務への理解が望める機会なのです。
トレーナーが悩みを抱えてしまうと、OJTがうまくいかないどころか、業務にも支障をきたしてしまうでしょう。そこで、トレーナーが安心して指導を行えるフォロー体制をつくっておく必要があります。
トレーナーへのフォローには、次のような事柄があげられます。
- トレーナーが受け持っている業務を、まわりで分担ができるようにしておく
- 上司や人事部、人材開発部はトレーナーの悩みを聞いて対処する
- トレーナー同士でコミュニケーションをとれる場を作る
- OFF-JTの研修をおこない、新人社員の基本的な知識量を増やす
トレーナーは、自分の業務に対してまわりがフォローしてくれれば、指導に自分のリソースを当てやすくなるでしょう。
また、悩みに対処してくれる体制が整っていたり、自分と同じOJTトレーナーをしている人と情報交換できる場を設けたりすれば、安定したメンタルを保ちながら指導できる可能性が広がります。OFF-JTによる研修なども併用して、トレーナーの負担を減らすよう努めるのも重要です。
まとめ
OJTトレーナーは、業務がこなせるからといって、誰もができるものではありません。向き不向きがあり、無理にトレーナーに選任すると、OJTがうまくいかずに新人社員が離職してしまう可能性もあります。
また、OJTトレーナーがOJTを成功させるには、まわりからのフォローも必要不可欠です。トレーナーへの教育やフォローがきちんとされているほど、トレーナーは本来の能力を発揮して新人社員への教育を行えるでしょう。
OJTトレーナーに向いていないと思われる人材でも、体制がしっかりしていれば、良い指導者として活躍できるかもしれません。
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