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社員教育しない会社はどうなる?研修がない会社にいる場合の対処法も解説

会社が社員教育をしないまま経営を続けていくとどうなるのでしょうか。また、もしも自分が勤める会社で社員教育がない場合は、どうやって仕事を覚え、どのような思いで仕事を続けるべきなのか、あるいは転職を考えるのがいいのでしょうか。

社員教育をしない会社では、辞めていった社員の代わりに新しい社員が入っても、またすぐに辞めるかもしれません。組織全体としても、社員の立場からも、根本的な対策が必要です。

ここでは、社員教育をしない会社の未来と、その会社の社員としてできる対策について解説します。

社員教育をしない会社はどうなるか

社員教育をしない会社はどうなるか

社員教育をしない会社に入社した新入社員は、なかなか仕事を覚えられず辞めていく可能性があります。たとえ会社に残ったとしても、後輩社員に秩序立てた教育をするのは難しいでしょう。

また、社員教育を受けていない社員間では、会社の理念や仕事の目的を共有できないため、上司の指示に従うだけの仕事になりがちです。意見交換やプライベートでの交流も少なくなります。

仕事へのモチベーションも会社への帰属意識も低下し、会社の業績も悪化するでしょう。

新入社員がすぐに辞める

新卒の社員は、会社でキャリアを積みながら社会性を獲得し、人間的にも成長しようと希望を抱いて入社します。

しかし、教育体制の整っていない会社に入社してしまった場合、仕事を覚えるのに時間がかかり、仕事の目的もわからず不安な状態で仕事を続けなければなりません。その結果、ミスが目立つようになったり、精神的に不安定になったりします。

教育体制の整った会社なら、ミスに対するフォローや改善策が施され社員の内面へのサポートもあるでしょう。しかしながら、社員教育をしない会社は普段から社員一人ひとりに対する細やかな視点を保てないため、ミスに対するフォローやサポートもおろそかになりがちです。

新入社員は仕事へのモチベーションが下がり、会社への希望を失います。辞めていくのは当然の流れでしょう。

スキルやノウハウが蓄積していかない

たとえ社員教育を受けていない社員が定着したとしても、社員の離職率の低い会社では切磋琢磨する競争意識が低いため、仕事のスキルアップも難しくなります。

頭数だけ揃えれば何とかなる、と考える経営陣が、辞めた社員の代わりに新しい社員を入れても、先輩社員は社員教育を受けていないので効率よく教えることはできません。新しい社員はまたすぐに辞めるか、淡々と業務をこなすかです。

そして個々の社員はもちろん、組織全体としてもスキルやノウハウを積み上げられないまま、効率の悪い多忙さに振り回され続けます。時代に取り残され、先細りしていくのは火を見るよりも明らかです。

企業への帰属意識が低下する

社員教育をしない会社では情報の共有が難しいため、業務内容だけを指示し、その目的までは伝えられないケースがあります。

指示を受けるだけの社員は、今自分が取り組んでいる業務が会社にとってどのような意義や意味があるのかわかりません。会社内での自分の役割について疑問が生じ、帰属意識が低下します。

帰属意識とは、「特定の集団に所属している意識」を指し、会社における社員としての自覚ともいえます。この帰属意識が低下すると、会社の直面している課題やビジョンを自分のこととして考えられなくなり、気持ちが会社から離れていきます。

同僚や上司とのコミュニケーションも減り、会社内での自分の居場所を見失い、やがて辞めてしまうケースも珍しくありません。

社員教育をするメリット3選

社員教育は新入社員を定着させるためだけでなく、会社を存続させるためにも必要です。会社の理念と働く目的を共有し、社員の能力を高められます。また、目的の共有によって、社内に連帯感が育まれていきます。

和気あいあいと活気のある職場が、顧客や社会の信頼を勝ち取るのは難しいことではありません。

社員教育のメリットを3つご紹介します。

①社員の能力を高めることができる

社員教育をすると、社員は自分の業務の目的と役割を理解し、会社への貢献・社会への貢献を意識した仕事を心掛けるようになります。それがすなわち会社の利益であり、還元され自分の利益にもつながるからです。

社員教育で共有される仕事のベースラインは技術の維持に役立ち、それぞれの社員に競争意識を目覚めさせます。新入社員は仕事の覚え方が早くなり、ベテラン社員は刺激し合うことでさらにスキルアップし、新たなノウハウを構築できるでしょう。

個々の社員がそれまで独自に学んでいたスキルや経験を情報交換し合い、コミュニケーション豊かな活気ある職場になります。新たなノウハウは、社員教育のプログラムに組み込まれ、企業のさらなる前進を後押しします。

②企業や業務の目的を共有できる

社員教育によって企業や仕事のあり方・理念や目的を共有した社員には、会社の一員としての自覚が芽生え、責任を持って仕事に取り組むようになります。

帰属意識が高まり、小さな指示1つに対しても積極的に行動し、気を利かせて先んじることすらあるでしょう。上司や経営陣が細やかな指示を出す回数が減り、仕事の効率が上がるのはいうまでもありません。

企業の理念や目的が浸透すると、顧客と接する場合や日常生活において会社の看板を背負っている自覚が芽生え、言葉や行動に責任を持つようになります。社員は社会に通用する人間として自信を持ち、ますます積極的に働くようになります。

③信頼を獲得できる

他者との信頼関係を築き持続させるためには、最低限のマナーがあり、常識的な言動が求められます。

受付や営業担当の社員、また初めての社会経験となる新卒の社員にとってはその後の人生を左右するほど重要です。受付の社員の小さな振る舞いで顧客が離れ、営業マンのたった一言の失言で仕事を失うこともあります。

社員教育をすると、そうしたトラブルを回避できるだけでなく、新卒の社員は社会人としての一般常識を身に付け自信を持つようになるため、さらなる飛躍が期待できます。

自信に溢れた笑顔の受付員と、礼節を保った謙虚な営業マンのいる会社は顧客に愛され、取引先に信頼されます。
新卒の社員が定着する会社は、ハローワークや学校関係者からも熱い視線を浴びるでしょう。

教育ができない職場になっている3つの理由

教育ができない職場になっている3つの理由

教育ができない職場になっている主な理由として、予算不足と人手不足、そもそもの教育体制が整っていない、社員を大切にしないなどが挙げられます。

いずれも、社員教育をしない「負のサイクル」として相互に作用し合います。これらの理由で社員教育が「できない」のではなく、「しない」からそうなっているのかもしれません。

①予算や人手が不足している

社員教育にはコストも時間もかかり、人手も必要です。したがって、多忙な会社や人手不足の会社、資金繰りに苦しんでいる会社が社員教育をしないのは、一見正当な理由のようにも思われます。

しかしながら、その多忙さは社員教育によって改善される可能性があり、社員教育をしないからこそ人手不足に陥ってしまったとも考えられます。資金繰りの苦しさに喘ぐ会社も然りです。

社員教育を「できない」のではなく「しない」からこその現実をしっかりと認識し、改善を進めるのが望ましいでしょう。

②教育体制が整備されていない

創業したばかりの小さな会社や、「見て覚えろ」の職人気質的な会社では教育体制が整備されていないケースがあります。

前者はこれから取り組む可能性がありますが、後者の「見て覚えろ」体質の会社では、先輩上司らがそうして培ってきた土壌があるためなかなか改善されません。しかし、身体だけで覚えた仕事を他人に教えるのは困難です。

社員教育によって知識や見識を深め、仕事の目的を理解すると、身体で覚えた仕事が記憶として刻まれ、体系づけられます。他人に伝えるのは容易になるでしょう。「知識・見識」を深め「実践する」その繰り返しにこそ成長があります。

③ひとりひとりの社員を大切にしていない

社員を大切にしない会社にとって社員とは、会社の利益を生むための道具に過ぎず壊れたら新しい道具に取り換えるだけのことです。使い捨ての道具としか思われていない社員のモチベーションは低く、仕事の効率は上がりません。

離職率が高いのも当然で、会社は常に人手不足に悩まされます。人手不足と効率の悪い多忙さに翻弄される経営が続くでしょう。その原因は、社員を大切にしない経営側の意識、会社の体制にあります。

「人材」は「人財」。人を育て、人あってこその会社です。経営側に、負のサイクルを断ち切る努力が求められます。

自分の会社に研修がないと感じた場合に確認すること

自分の会社には研修制度や教育体制が整っていないのではないか、とぼんやりとでも感じてしまうと、この先、この会社で大丈夫なのだろうかと不安になります。

会社がその後改善できるか、自分にとって居心地がよくレベルアップできる会社かどうかを見極めるためのチェックポイントを3つ紹介します。

①社員同士で挨拶があるかどうか

世界中に700店舗以上を構える無印商品が、38億円の赤字から6年後に1.5倍の72億円の利益を出すようになったのは有名な話です。

その立役者となった当時の社長、松井忠三氏は「どんなによいマニュアルを作ってもコミュニケーションの基本である挨拶ができなければだめ」といっています。社長在任中に業務改革の手段の一つとして、課長以上の管理職に「朝のあいさつ当番」を実施させました。

挨拶は人間関係を構築するうえで欠かせないもの、コミュニケーションツールの最たるものです。その挨拶さえできない会社は、人間関係を構築していく気がないといわざるを得ません。つまり、いつでも辞める覚悟でいるか、どうせ辞めるんだろうと思っているか、どちらかでしょう。

②人の出入りが激しいか

退職者の多くは会社を「辞めようか」と思い始めてから「辞める」と決断するまで、ある程度の時間を悩み抜きます。その間、相談する上司や同僚がいたり、サポート体制が整っていたりしたら考え直す可能性もあります。

けれども、社員教育をしない会社は、人間関係が希薄で業務優先の傾向が強いため、社員の悩みをフォローできません。したがって、悩みを抱えた社員は簡単に辞めていきます。

人を大切にしない企業側は、なぜ辞めたかを問うこともなく人員補充の準備を進めるでしょう。離職率の高さから常時募集をかけている会社も少なくありません。

周囲を見回してみましょう。創業は古いはずなのに若い社員ばかりの会社、常時募集をかけているような会社は要注意です。

③質問しやすい上司がいるか

質問や相談をしやすい上司の存在は大切です。仕事のスキルアップはもちろん、ミスやイレギュラーに対してもすみやかな対応ができます。退職の悩みも親身になって聞いてくれるかもしれません。

けれども、上司が不愛想だったり威圧感があったり、あるいは常に忙しそうにしているとなかなか質問や相談はできないものです。上意下達だけの上司の下では部下もいわれたことをやるだけになってしまい、スキルアップも人間的な成長も難しくなります。

どのような上司がいるかによって職場の雰囲気が決まり、会社の将来が見えてくるといっても過言ではありません。あえて積極的に質問し会社改革の先駆者となるか独学でスキルアップを図るか、それとも会社に見切りをつけるか、悩んでも相談できる上司のいない現実が立ちはだかります。

研修がない時にどうすればいいか

研修がない時にどうすればいいか

たとえ社員教育をしない会社であっても、自分は自分です。自らの決断で選んだ企業なら改革を試みるのもよいでしょう。

あるいは、独学でスキルアップしていけば周囲も変わるかもしれません。キャリアが傷つくことを怖れず、すぐに見切りをつけるのも一つの方法です。何のために仕事をしていくのか、会社とは何なのか、じっくり考える必要があります。

①上司や先輩に声をかけてみる

研修がないからといって、学ぶ術がないわけではありません。わからないことは上司や先輩に積極的に聞き、悩み事も誰かに打ち明けさえすれば何とかなるものです。

「会社がダメだから」は、「忙しいから社員教育できない」会社と同じように、自らの消極性が邪魔している可能性も否定できません。

まずはできる範囲の身近なところ、上司や先輩とのコミュニケーション機会を増やすところから始めてみましょう。行動範囲を広げて、違う部署の上司や先輩に尋ねてみるのも一つの方法です。

ハツラツとした挨拶と積極的な質問、手の空いたときに手伝うなど、自分にできる仕事を増やしてこれまで以上に多くの上司や先輩に親近感を持ってもらうと、職場全体の雰囲気も変わっていく可能性があります。

②独学で身につける

教えてもらえないなら、自ら学び取る方法があります。否定的にならず、職場で先輩や上司の仕事ぶりや知識・教養など、自分にとってプラスと思われる面はできるだけ学び吸収しましょう。

それで足りないなら、プライベート時間を縫って独学でスキルアップを図る方法があります。独学でスキルアップしていく方法は、その後の人生においても大いに役立つはずです。

通勤途上にあるアカデミーやオンラインでの講座など、社会人のスキルアップに役立つ情報は溢れかえっています。利用者も多く、中には掛け持ちで学ぶ社会人もいます。そうした前向きな方々と接するのもよい刺激です。

充実した人生を送るために時間を有効に使いましょう。学ぼうとする前向きな気持ちを忘れてはなりません。

③思い切って転職するのもアリ!

社内で積極的に行動するにせよ、独学でスキルを身につけるにせよ、どのくらいの期間でどこまで達成するか、を明確にする必要があります。そうしなければ「今度こそ」と長引いて、何も変わらないまま自分が老いてしまいます。

自ら設定した基準をクリアできなければ、すみやかに転職を決意するのが望ましいでしょう。いわゆるブラック企業と呼ばれる会社なら、いっそう早い決断が求められます。

特に新卒で入社した場合、初めての会社での経験は後々まで影響します。繊細な青年が上司のパワハラでうつ病を発症するケースも少なくありません。人生は自分のものです。仕事は生きる糧を稼ぐための手段であり、社会の一員として周囲との信頼関係を築くツール、よりよい環境があるなら躊躇する必要はないでしょう。

まとめ

社員教育は社員の定着とスキルアップ、社会的な信頼を高めるために必要不可欠です。全体的なレベルアップにつながり、さらなる成長が見込めます。

企業に定着した社員による、新人・若手・中堅・ベテランと世代の違う労働環境は、それぞれが手本となり前向きな競争意識を煽ります。顧客や取引先からの信用も厚くなり、社員教育に要するコストや労力を補って余りある利益を生み出すでしょう。

戦前・戦後からコロナ前・コロナ禍、そしてコロナ後と、めまぐるしく展開する時代にあって価値観も大きく変わってきました。社員教育も更新が必要です。一企業として、一人の人間としても、謙虚に学ぶ姿勢を忘れずにいたいものです。

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