社会人の勉強を習慣化する7つの仕組み|やる気に頼らない方法

社会人の勉強で、これがいちばん多いパターンです。そして多くの人が「自分は意志が弱い」と結論づけます。
ただ、学生時代に毎日勉強できていたのは、意志が強かったからではありません。時間割があり、宿題があり、周りも全員やっていたからです。社会人にはその強制力が一切ありません。抜けたのは意志ではなく、環境のほうです。
だとすれば、打つ手は「やる気を出す」ことではなく、やる気がない日でも動く仕組みを作ることになります。この記事では、その仕組みを7つ紹介します。
勉強が続かないのは、意志の問題ではない
- 仕組み1:日常の動作に勉強をくっつける
- 仕組み2:2分で終わることから始める
- 仕組み3:スキマ時間をあらかじめ割り当てておく
- 仕組み4:勉強せざるを得ない環境を作る
- 仕組み5:進んだことを目に見える形にする
- 仕組み6:人の目を借りる
- 仕組み7:ご褒美を先に決めておく
やる気は感情なので、体調・仕事の状況・家庭の事情で簡単に上下します。自分でコントロールできない変数に、継続を預けている状態です。
しかも一度崩れると、二次被害があります。「今日もできなかった」が積み重なると、参考書を見ること自体が気まずくなり、机に近づかなくなる。やる気で走ると、失敗したときに勉強そのものから遠ざかります。
新しい行動を始めるとき、いちばん重くなるのは「やるかどうか」を決める瞬間です。この判断を毎日させられると、疲れている日に必ず負けます。
そこで、判断そのものをなくします。すでに毎日やっている行動に、勉強をくっつけるのがいちばん確実です。「決める」工程が消えるので、意志を使わずに始められます。
仕組み1:日常の動作に勉強をくっつける
「もしXをしたら、そのときYをする」と、あらかじめ決めておく方法です。心理学では実行意図(implementation intentions)と呼ばれ、1999年にピーター・ゴルヴィツァーが提唱しました。目標を立てるだけの場合と比べて、実行率が大きく上がることが知られています。
やることは単純で、「いつ・どこで・何をするか」を先に固定してしまうだけです。
「朝、勉強する」では機能しません。朝のいつなのか、何をするのかが決まっていないので、結局その場で考えることになります。
そうではなく、「朝、コーヒーを淹れたら、英単語帳を1ページ開く」まで落とします。引き金(コーヒーを淹れる)と行動(1ページ開く)が1対1で結びついていれば、考える余地がありません。
ここを間違える人が多いところです。
「毎日19時から」のように時刻を引き金にすると、残業が入った瞬間に崩れます。そして一度崩れると、翌日以降もなし崩しになります。
引き金にするのは、毎日必ず起きる「行動」です。歯を磨く、電車に乗る、昼食をとる、風呂から出る。これらは残業しても飲み会があっても発生します。時刻に紐づけるより、はるかに壊れにくくなります。
仕組み2:2分で終わることから始める
ジェームズ・クリアーの『Atomic Habits』で紹介されている考え方で、新しい習慣は2分以内で終わる大きさから始めるというものです。
「毎日2時間やる」と決めた人は、2時間取れない日に何もしません。「参考書を開く」と決めた人は、開くだけなら疲れていてもできます。狙いは勉強量ではなく、着手そのものを習慣にすることです。
具体的には、「問題集を1ページ開く」「アプリを起動する」「ノートとペンを机に出す」。これで今日の分は達成です。
物足りなく感じると思いますが、この設定にしておくと、忙しい週に連続記録が途切れません。途切れないことが、この段階では唯一の目的です。
「とりあえず手をつければ作業興奮でやる気が出る」という説明をよく見かけます。ただ、「作業興奮」は日本で広まった通俗的な言い方で、心理学の正式な用語として確立しているものではありません。クレペリンが提唱したという説明も、一次資料では裏が取れませんでした。
実感として「開いたらそのまま20分やっていた」ことは確かに起こります。ただし毎回ではありません。2分で終わっても失敗ではない、という設計にしておくことが大事です。乗ってくる日を前提にすると、乗らない日に崩れます。
仕組み3:スキマ時間をあらかじめ割り当てておく
まとまった時間を待っていると、いつまでも始まりません。5分や10分でできることを先に決めておくと、空いた時間が自動的に勉強時間に変わります。
大事なのは「空いたら何かやる」ではなく、時間帯ごとに中身を固定しておくことです。
- 通勤中:手はふさがっていても耳は空いています。音声メディアやオーディオブックでのインプットに向きます。1日15分でも、1週間で1時間45分になります
- 昼休みの5分:一問一答形式のアプリなど、途中で切れても困らないものを置きます
- 寝る前の1分:その日やったことを思い出して、キーワードだけメモします
スキマ時間の使い方をもっと詳しく知りたい方は、社会人は隙間時間の活用がカギ!周りと差をつける勉強法にまとめています。朝の時間を使う場合は朝の勉強のメリット4選!夜の勉強との違いや習慣化の方法も解説もどうぞ。
復習の話になると、ほぼ必ず「エビングハウスの忘却曲線によれば、1日で約7割忘れる」という説明が出てきます。これは誤用です。
忘却曲線が示しているのは「節約率」、つまり一度覚えたことをもう一度覚え直すとき、最初と比べてどれだけ手間が減るかです。「どれだけ覚えているか」を測ったものではありません。
さらに、この実験でエビングハウスが覚えたのは意味のない3文字のつづりで、被験者は本人1人です。参考書の内容や英単語にそのまま当てはめられるものではありませんし、彼が「最適な復習タイミング」を示したわけでもありません。
とはいえ、寝る前に一度思い出しておく効果自体は実感しやすいところです。翌日に再開するときの立ち上がりが明らかに速くなります。権威づけをしなくても、やる価値のある1分です。
仕組み4:勉強せざるを得ない環境を作る
意志の力は使えば減ります。誘惑の多い場所で「集中しよう」と念じるのは、いちばん高くつくやり方です。
先に環境のほうを変えます。やることは2つだけです。
- スマホを物理的に遠ざける。通知を切るだけでは足りません。別の部屋に置くか、視界から外します
- 机の上に勉強道具以外を置かない。始めるたびに片付けから入ると、その片付けがハードルになります
部屋そのものの作り方は、環境で勉強の成果が変わる?集中部屋の作り方と習慣化のコツを解説で詳しく扱っています。
ただ、自宅の環境を整えるのが難しい人もいます。同居する家族がいる、ワンルームで机と寝床が同じ部屋にある、といった場合です。そのときは、家の中をどうにかするより家の外に場所を1つ持つほうが早いことがあります。
勉強カフェ新宿エリア(新宿スタジオ/新宿ベースポイントスタジオの2拠点)は早朝6時から夜23時まで利用でき、仕事の前後どちらでも寄れます。同じように資格や語学に取り組む社会人が同じ空間にいるので、続ける理由をひとりで作らなくて済みます。
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仕組み5:進んだことを目に見える形にする
社会人の勉強には、テストの返却も通知表もありません。進んでいる実感を自分で作らないと、続ける理由が薄れていきます。
記録の方法は2つあります。
「Studyplus」のような学習管理アプリを使うと、勉強時間や内容が自動でグラフになります。「Toggl Track」のような時間計測ツールでも代用できます。
週ごと・月ごとの推移が見えると、調子が落ちている週にも気づけます。どのアプリを選ぶかは、【無料】効率が上がる!勉強時間の記録にオススメのアプリ11選で比較しています。
アプリが面倒なら、卓上カレンダーに丸をつけるだけでかまいません。
連続して並んだ印は、それ自体が「途切れさせたくない」という力になります。デジタルより、毎日目に入る場所に貼ってあるほうが効くこともあります。
仕組み6:人の目を借りる
ひとりで続けるのは、単純に難易度が高いです。誰も見ていないので、やめても何も起きません。
X(旧Twitter)などで学習記録を投稿している人は多く、勉強垢のタグをたどると同じ資格を目指す人が見つかります。進捗を報告する相手ができるだけで、「今日は報告することがない」を避けたくなります。
もう一段効くのが、学んだ内容を自分の言葉で書いて出すことです。人に説明する前提で読むと、読み方が変わります。わかったつもりの箇所が、書こうとした瞬間に見つかります。
仕組み7:ご褒美を先に決めておく
終わってから考えるのではなく、始める前に決めておくのがポイントです。
短い周期のものを1つ。「この単元が終わったらコーヒーを買う」「1週間続いたら週末に好きなものを食べる」。これは日々の着手を後押しします。
長い周期のものを1つ。「合格したら前から欲しかったものを買う」「目標スコアが出たら旅行に行く」。こちらは、しんどい時期に目的を見失わないための錨です。
どちらか一方だけだと効きません。短いものだけでは目的地を見失い、長いものだけでは今日の1回が始まりません。
7つ全部やらなくていい。どれから始めるか
ここまで7つ挙げましたが、同時に始めると確実に破綻します。習慣を7つ同時に作ろうとしているのと同じだからです。
順番はこうです。
まず仕組み1と2だけ。「毎日やっている行動」に「2分で終わること」をくっつける。これだけを2週間続けます。ここが動かないうちに他を足しても意味がありません。
2週間続いたら、仕組み4(環境)。場所が決まると、1と2の安定度が一段上がります。
そのあとに仕組み5(記録)。続いている実感を可視化するのは、続き始めてからで十分です。
3、6、7は、必要を感じたときに足せば足ります。
なお、この記事は「そもそも机に向かうか」の話です。向かったあとに何をどの順で進めるかは別の問題なので、勉強計画・スケジュールの立て方|挫折しない3ステップと書き方例を参照してください。時間そのものが取れない方は勉強したいのに時間がとれない社会人必見!時間の作り方を紹介が先です。
社会人の勉強習慣化に関するよくある質問
その日の目標を「参考書を開く」「単語を1つ見る」まで下げてください。疲れた日に長時間やる必要はありません。ゼロの日を作らないことだけを目的にします。連続が途切れないかぎり、翌日から戻れます。
やる気で走ろうとしているのが原因であることが多いです。「コーヒーを淹れたら単語帳を開く」のように、毎日必ず起きる行動に勉強をくっつけて、判断する工程を消してください。それでも動けないときは、量が多すぎないかを確認します。詳しくは勉強のやる気が出ない…を解決!すぐやる気を出す方法8選&続けるコツもどうぞ。
「21日」「66日」など諸説ありますが、内容や人によって大きく変わるため、日数を目標にしないほうが現実的です。それより、2週間続いたかどうかを最初の区切りにしてください。2週間もったものは、その後も残りやすくなります。
違います。問題は1日休むことではなく、休んだあとに戻らないことです。2日続けて休まないとだけ決めておくと、立て直しが利きます。
生活リズムが一定なら機能します。ただ、残業や急な予定で崩れやすいのが弱点です。時刻ではなく「風呂から出たら」のような毎日必ず起きる行動を引き金にしておくと、予定が乱れた日でも成立します。
まとめ
勉強が続かないのは、意志が弱いからではありません。学生時代にあった強制力が、社会人にはないだけです。だから、強制力のかわりになる仕組みを自分で置きます。
- 毎日必ず起きる行動に、勉強をくっつける(引き金は時刻でなく行動)
- 2分で終わる大きさから始める。乗ってこない日を前提に設計する
- 時間帯ごとに、やることを先に決めておく
- 意志で我慢せず、環境のほうを変える
- 進んだことを目に見える形で残す
- 人の目を借りて、やめにくくする
- 短いご褒美と長いご褒美を、始める前に決めておく
最初にやるのは1と2だけで十分です。2週間動いたら、次に環境を整えてください。7つ全部そろえることではなく、1つ目が止まらないことが目的です。
勉強カフェ新宿エリア(新宿スタジオ/新宿ベースポイントスタジオの2拠点)は早朝6時から夜23時まで利用でき、仕事の前でも後でも寄れます。
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※「実行意図(implementation intentions)」はPeter Gollwitzer(1999)による概念です。「2分ルール」はジェームズ・クリアー『Atomic Habits』で紹介されている考え方にもとづきます。エビングハウスの忘却曲線についての記述は、原典が「節約率」を測定したものであることにもとづいて記載しています。
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