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社会人の学び直し・リスキリングとは?補助金と始め方をわかりやすく解説

「このままのスキルで、あと20年働けるだろうか」。そう考えて検索した方が多いと思います。

学び直しは、気持ちの問題として語られがちです。ただ、実際に始めた人とそうでない人を分けているのは、意欲よりも「制度を知っていたかどうか」と「続けられる環境があったかどうか」です。

受講料が戻ってくる公的な制度があることを知らずに、全額自己負担で諦めている人は少なくありません。この記事では、まず用語の整理をしたうえで、使える制度を2026年9月時点の最新の数字でまとめます。そのうえで、何から始めればいいかを具体的に書きます。

社会人の学び直し・リスキリングとは

  1. リスキリング・リカレント教育・生涯学習の違い
  2. なぜ今、学び直しが推進されているのか
  3. 使える補助金・給付金制度
  4. 何から始めればいいか
  5. 続けるための環境をどう作るか

社会人の学び直しとは、社会人が自分のキャリアや仕事に必要な知識・スキルを改めて学ぶこと全般を指します。近年はそのなかでも、デジタル化への対応を目的とした「リスキリング」に注目が集まっています。

言葉が複数あって混乱しやすいので、先に整理します。

リスキリング・リカレント教育・生涯学習の違い

3つの言葉は「誰が主導するか」と「何のために学ぶか」で区別されます。

用語 主導するのは 目的と学び方
リスキリング 企業が中心 事業の変化に合わせて新しい職務に必要なスキルを習得する。働きながら学ぶのが基本
リカレント教育 個人が中心 キャリアアップや転換のため、いったん仕事を離れて大学などで学ぶ。「働く→学ぶ→働く」を繰り返す
生涯学習 個人 自己実現や豊かさのために生涯学び続ける。趣味や教養も含む、いちばん広い概念

実務上は、この区別に神経質になる必要はありません。後述する公的な支援制度は、どの言葉で呼ぶかではなく「対象講座かどうか」「雇用保険に入っているか」で決まります。

なぜ今、学び直しが推進されているのか


背景は大きく3つです。

1つめは、AIをはじめとする技術の進展です。既存の業務が自動化される一方で、新しい技術を扱える人材が足りていません。

2つめは、職業人生が長くなったことです。定年までの期間が延びれば、入社時に身につけたスキルだけで走り切ることは難しくなります。キャリアの途中で複数回の更新が必要になりました。

3つめは、職務内容を明確にして人を採用する形が広がってきたことです。役割に対して専門性が問われるため、学び続けているかどうかが処遇に反映されやすくなっています。

国が制度を整えているのも、この流れに対応するためです。

使える補助金・給付金制度【2026年9月時点】

学び直しでいちばん大きな障壁は費用です。ただ、講座によっては受講料の大半が戻ってきます。知らずに諦めるのがいちばんもったいないので、ここを先に読んでください。

なお、給付率や上限額は制度改正で変わります。以下は2026年9月時点で厚生労働省が公表している内容です。実際に申し込む前に、必ずハローワークで最新の条件を確認してください。

教育訓練給付制度(在職中でも使える)

厚生労働大臣が指定した講座を修了すると、支払った受講料の一部が戻ってくる制度です。離職していなくても、雇用保険に入っていれば対象になります。3種類あります。

種類 支給率と上限額 対象になる講座の例
専門実践
教育訓練
受講中は50%(年間上限40万円)
資格を取り、修了後1年以内に雇用保険の被保険者として就職すると70%(年間上限56万円)
さらに受講前より賃金が5%以上上がると80%(年間上限64万円)
デジタル関連の講座、専門職大学院など、中長期のキャリア形成に資するもの
特定一般
教育訓練
修了後に40%(上限20万円)
資格を取って就職すると50%(上限25万円)
速やかな再就職やキャリアアップにつながるもの
一般
教育訓練
修了後に20%(上限10万円) 上記以外の幅広い講座

70%・80%の上乗せは令和6年10月1日以降に受講を開始した場合が対象です。それ以前の数字を載せている記事がまだ多いので、比較するときは日付を確認してください。

受給には、原則として雇用保険の加入期間などの要件があります。初めて利用する場合は期間が短縮される仕組みもあるため、自分が対象かどうかはハローワークで確認するのが確実です。専門実践と特定一般は、受講前に手続きが必要になる点にも注意してください。

対象講座は教育訓練講座検索システム(厚生労働省)で探せます。

人材開発支援助成金(会社に提案する制度)

従業員の訓練を実施した事業主に対して、訓練経費や訓練中の賃金の一部が助成される制度です。個人が直接申請するものではありません。

ただ、受けたい講座があるなら、この制度を使えないか会社に提案するという手が使えます。会社にとっても負担が軽くなるので、事業に直結するスキルであれば通る可能性があります。自己負担ゼロで学べる道が、いちばん近いところにあるかもしれません。

ハロートレーニング(主に離職中の方向け)

公共職業訓練と求職者支援訓練をまとめた呼び名です。IT、介護、デザイン、事務など、再就職に直結するコースが用意されています。

受講料は無料ですが、テキスト代や実習にかかる費用は自己負担です。「完全に無料」ではない点に注意してください。

また、雇用保険を受給できない方が一定の要件(ハローワークへの求職申込み、出席率8割以上など)を満たすと、月10万円の職業訓練受講給付金を受けながら訓練を受けられます。

在職中の方の場合は、こちらより前述の教育訓練給付制度のほうが使いやすい場面が多くなります。

自治体の制度と、講座を探すためのサイト

国の制度とは別に、都道府県や市区町村が独自の補助を設けている場合があります。お住まいの自治体のサイトで「学び直し 補助金」などで探してみてください。

大学や大学院での学び直しを考えている場合は、文部科学省のマナパスが便利です。社会人向けの講座を、分野・資格・給付金の対象かどうか・土日夜間の開講かどうかといった条件で絞り込めます。

何から始めればいいか

制度がわかったら、次は中身です。やみくもに講座を申し込む前に、順番があります。

1. キャリアの棚卸しをして、目的を1つに絞る

「何のために学ぶのか」が曖昧なまま始めると、途中で理由を見失います。これまでの経歴、できること、やりたいこと、求められていることを書き出して、現在地を確認してください。

そのうえで、目指す姿を具体的にします。「5年後にデータ分析を担当する」「リモートで働ける職種に移る」といった水準まで落とすと、学ぶ内容の選び方が変わります。

2. 必要なスキルを、求人情報で逆算する

目指す姿が決まったら、そこに必要なスキルを洗い出します。ここで効率がいいのは、転職サイトで希望職種の求人を10件ほど開き、必須要件と歓迎要件に何が書かれているかを数えることです。

自分の想像ではなく、実際に募集している企業が何を求めているかがわかります。複数の求人に共通して出てくる言葉が、優先して学ぶべきものです。

3. 学ぶ手段を、生活に合わせて選ぶ

オンライン講座、通信講座、専門学校への通学、大学・大学院。それぞれ費用も期間も違います。

判断材料は「1日に確保できる時間」「使える予算」「強制力が必要かどうか」の3つです。自分で進められるならオンライン、締め切りがないと動けないなら通学型というように選びます。給付金の対象かどうかも、ここで確認しておきます。

■ よくある失敗:最初から完璧な計画を立ててしまう

意気込んで「毎日2時間」と決めると、守れなかった日に計画全体への信頼が切れます。まずは確実に達成できる小さな単位から始めて、習慣にすることを優先してください。

計画の立て方そのものは、勉強計画・スケジュールの立て方|挫折しない3ステップと書き方例で詳しく扱っています。時間が取れないという方は勉強したいのに時間がとれない社会人必見!時間の作り方を紹介もあわせてどうぞ。

学び直しでいちばん多い挫折は「教材は買ったが、開かないまま3か月」です。制度で費用は下げられても、机に向かう習慣までは制度が用意してくれません。
勉強カフェ新宿エリア(新宿スタジオ/新宿ベースポイントスタジオの2拠点)は早朝6時から夜23時まで利用でき、仕事の前後どちらでも寄れます。同じように学び直している人が同じ空間にいるので、続ける理由をひとりで作らなくて済みます。
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何を学ぶか迷ったときの選び方

学ぶ対象に迷ったら、次の2つの軸で考えると絞りやすくなります。

  1. 職種を問わず使えるか(会計、データの読み方、文章、ITの基礎など)
  2. 需要に対して担い手が足りていないか(求人数に対して応募要件を満たす人が少ない分野)

1つめは、転職してもキャリアが変わっても持ち運べる知識です。簿記や表計算の実務スキルはここに入ります。2つめは、短期的に待遇に反映されやすい領域です。

代表的なものを挙げると、IT・DX分野ではプログラミングやデータ分析、その基礎を証明する情報処理系の試験。全職種で効くものとしては会計(簿記)とマーケティング。グローバル志向であれば英語。管理職や独立を視野に入れるなら経営分野の学位や中小企業診断士といった選択肢があります。

英語については、求められる水準は職種によって大きく異なります。一般に「何点あればいい」という基準はなく、応募したい求人が実際に何を要件として挙げているかで判断してください。

具体的な資格の比較は、転職に役立つ独学で取れる資格10選!|国家資格・AI資格も紹介でまとめています。表計算から手をつけたい方は初心者も独学でできる!仕事に必須なExcelの勉強方法を紹介!もどうぞ。

続けるための環境をどう作るか

制度を調べ、講座を選び、計画を立てた。それでも続かない人には共通点があります。学ぶ場所が決まっていないことです。

自宅で始めようとすると、机に着くまでにテレビ、スマホ、洗い物、ベッドを通過します。疲れている日はここを突破できません。カフェは集中できますが、混んでいれば長居しづらく、電源や静かさは運任せです。

学び直しは、資格試験なら半年から1年、大学院なら2年の単位で続きます。その期間ずっと「今日はどこでやろうか」を考え続けるのは、思っている以上に消耗します。

続いている人はたいてい、「そこに行けば学習が始まる場所」を1つ持っています。判断の回数が減るぶん、意志の力を使わずに済むからです。

仕事終わりに手をつけられないという方は、仕事終わりの勉強はなぜ難しいのか?忙しい社会人に送る3つの解決策も参考になります。

社会人の学び直し・リスキリングに関するよくある質問

リスキリングとリカレント教育は何が違うのですか

主導する立場と学び方が違います。リスキリングは企業が中心で、働きながら新しい職務に必要なスキルを身につけるものです。リカレント教育は個人が中心で、いったん仕事を離れて大学などで学び直すことを指します。ただし公的な支援制度を使うときは、この区別ではなく「対象講座か」「雇用保険に入っているか」で判断されます。

在職中でも補助金は使えますか

使えます。教育訓練給付制度は雇用保険の被保険者が対象で、離職している必要はありません。原則として加入期間などの要件があるため、対象になるかはハローワークで確認してください。

教育訓練給付制度は結局いくら戻ってきますか

種類によって変わります。2026年9月時点では、専門実践教育訓練が受講中50%(年間上限40万円)、資格取得と就職で70%(年間上限56万円)、さらに賃金が5%以上上がると80%(年間上限64万円)です。特定一般教育訓練は40%(上限20万円)で、資格取得と就職により50%(上限25万円)。一般教育訓練は20%(上限10万円)です。70%と80%の上乗せは、令和6年10月1日以降に受講を開始した場合が対象です。

ハロートレーニングは本当に無料ですか

受講料は無料ですが、テキスト代や実習にかかる費用は自己負担です。また、雇用保険を受給できない方が一定の要件を満たすと、月10万円の職業訓練受講給付金を受けながら受講できます。主に離職中の方向けの制度です。

仕事と家事で忙しく、時間が取れません

通勤中の音声学習など、まとまった時間でなくてもできる形を先に用意しておくと途切れにくくなります。そのうえで、毎日15分などの確実に達成できる単位から習慣にしてください。詳しくは勉強したいのに時間がとれない社会人必見!時間の作り方を紹介で扱っています。

何から学べばいいか全くわかりません

まずキャリアの棚卸しから始めてください。これまでの経験で得意なこと、今後進みたい方向を整理したうえで、転職サイトで希望職種の求人を10件ほど開き、必須要件に共通して出てくる言葉を数えると、学ぶべき対象が絞れます。

まとめ

社会人の学び直しで先に押さえるべきなのは、意欲の話ではなく制度と環境です。

  1. 用語の区別に悩む必要はない。制度は「対象講座か」「雇用保険に入っているか」で決まる
  2. 在職中でも教育訓練給付制度は使える。条件次第で受講料の最大80%(年間上限64万円)が戻る
  3. 会社に人材開発支援助成金の活用を提案すれば、自己負担ゼロの道もある
  4. 学ぶ対象は、求人の必須要件から逆算すると外しにくい
  5. 続くかどうかは、学ぶ場所を1つ決めてしまえるかで大きく変わる

制度で費用の壁は下げられます。残るのは、続けられる環境をどう用意するかです。

半年、1年と続く学び直しだからこそ、「行けば始められる場所」があるかどうかで結果が変わります。
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※本記事の給付率・上限額は2026年9月16日時点で厚生労働省が公表している内容にもとづきます(厚生労働省「教育訓練給付制度」、ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」、厚生労働省「ハロートレーニング」「求職者支援制度のご案内」)。制度は改正されることがあるため、申込前に必ず最新の条件をご確認ください。

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